「常時使用する労働者」の定義

Workers
Special thanks to Gerd Altmann

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所定の事項を定めた就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければいけません(労働基準法第89条)。

この「常時10人以上」かどうかは、どのように数えるのか? この4月に新入社員が入り、気になっている事業主の方もいらっしゃるのではないかと思います。

ここでいう「労働者」には、いわゆる非正規雇用労働者、つまりパートやアルバイトの方も含まれます。社会保険・雇用保険の被保険者であるかないかは関係ありません。

それでは、次のようなケースはどうでしょう。

A事業所では営業日が週6日で、常態として、社長以外は週3日のパート労働者が5人ずつ2班に分かれて交代で勤務しています。つまり、欠勤がなければ常に5人の労働者が事業場に勤務しており、5人を超える労働者が一度に勤務することはありません。この場合、A事業所は、「常時5人を使用」しているということになるのでしょうか。

そうではないですね。このケースは「常時10人を使用」に該当します。 常態として10人の労働者が雇用されているからです。

では次の場合はどうでしょう。

B事業所では1日あたり10時間が営業時間です。常態として、社長以外は10人の短時間労働者が1時間ずつ交代で勤務しています。つまり事業場には常に1人の従業員しかいません。すべての従業員は、所定労働時間が1時間です。この場合でも、「常時10人」に該当するでしょうか?

はい、該当します。「常時使用する労働者」をカウントする際に、勤務時間は関係ないからです。

重要なのは、「常時」使用しているかどうかです。

例えば常時9人が勤務している事業所で、追加で1か月だけ期間限定の従業員を雇ったような場合は、「常時10人以上」とは判断されません。

もう一つ、勘違いしやすいのは「管理監督者」の扱いです。労働基準法41条第2号に定める「監督若しくは管理の地位にある者」には、労働時間等に関する労基法の規定が適用されないので「残業代」が発生しなかったりしますが、「常時使用する労働者」にはカウントしないといけません。

しかし、管理監督者は36協定締結の労働者過半数代表になれなかったりするので、わかりにくいですね。

就業規則は厚労省の出している雛形もありますが、事業所の個別の事情や方針を取り入れて相当に手を入れないと、役に立たないばかりか、事業に望ましくない影響を及ぼすことすらあります。就業規則の作成や改定を検討されている事業主の方は、ぜひ当事務所にご相談ください。会社の実態に合った、働きやすい職場となるような就業規則を作るお手伝いをさせていただきます。

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